【読書記録】美とミソジニー 装飾編

服の話
ダンス・イン・クローゼット管理人
ダンス・イン・クローゼット管理人

韓国の脱コルセット運動のきっかけにもなった本だそうで、説得力がすごいです。ファッション、化粧、靴、美容整形…女性に課せられた美への圧力についてこれでもかと書いてあります。

その中でも、女性への圧力の根底に共通すると思ったものを抜粋してみました。装飾がどんな意味を持つのか、装飾させるのは誰か、装飾しないとなぜ男が怒るのか、という点で書いていきます。


おしゃれは誰のため?

自分のため、あるいは他の女性のために、美容行為を行うことを選択したと言うが、その場合でも男性はいくつかの点で利益を得ることができる。彼らは、装飾した女性を見るたびに、自分たちが優位な性階級としての地位を持っていることを再確認することができる。

『美とミソジニー 美容行為の政治学』p73

フェミニズムを何も知らなかった頃、美容・装飾に相当な労力使ってました。好きな服を好きに着ていたつもりだったけど、それは結果として男に「優位な性階級の地位を再確認」させていたんですねえ…。反省。

自分のための装飾は…嘘ってことですね。たとえ自分のために装飾しようとも、男のために装飾している人と見分けがつかない。地位の再確認に消費されることには変わりはない。

ファッション業界や化粧品業界は”自分のための装飾”を良いことのように喧伝していますね。女が装飾しなくなったら儲からなくなるから。女らしくなる自由とか、化粧する自由とか、セックスワークする自由とか、エセ解放見抜いてこうな✊(拳のマーク)

服は誰が作ってるのか?

ファッション業界に関わる男性、男性支配のメディア、ファッションモデル、ポルノは、男性の興奮のために女性を性的客体化するという同じ連続体の一部なのである。

『美とミソジニー 美容行為の政治学』p141

自分では着ない服を女性向けに作ってたんですね。服は服売り場にあるものからしか選べないというのに、その選択肢をほぼ男が考えてたんですね。だから着心地悪くて着にくい服が売り場に並んじゃうんですね(激怒)

本で言われてたアレキサンダーマックイーンというブランド、コルセットやウエストを強調するベルトが多い印象です。レディースはほとんどウエストのくびれを強調するのに、メンズには同じことをしない。

ジェレミー・スコットというデザイナー、いつぞやバービー人形風の服を発表してました。まさに人形服。

本ではゲイのデザイナーにも言及してました。聞いたことあるブランドのデザイナーがゲイだったりします。ゲイのほうが多いのでは?というくらい。ファッションデザイナー ゲイ で調べてください。

そこで脱コルだ!

美容行為を拒否する女性たちは、男を引き立たせもせずへつらいもしないのであり、そのような抵抗は支配的な性階級のメンバーを大いに憤慨させることになる。

『美とミソジニー 美容行為の政治学』p74

男はおしゃれするのダサイって人たまにいますが、もしかしてこの本が言うようなことを分かってるんでしょうか。装飾はへつらいだ、と。だから本当に何もせずに清潔感すらない人がいるのか?

上記の引用、この記事の序盤の「彼らは、装飾した女性を見るたびに、自分たちが優位な性階級としての地位を持っていることを再確認することができる。 p73」という文脈から繋がっているんですが、優位な地位を再確認できなくて大いに憤慨してしまう…ってコト…!?優位な地位なんてそんなものは元から無い。家父長制が男が優位であるかのように洗脳しているにすぎない。家父長制に染まっている自覚を持つべき。

脱コルに男が怒る理由がこのp73・p74あたりによく説明されていると思います。ガンガン怒らせてこ✊(拳のマーク)(絵文字アプリ?で入れる気にならなかった)

おわりに

以前の記事【読書記録】脱コルセット:到来した想像で「おしゃれをしたいときはする、したくないときはしない」というのが私のスタンスとしていましたが…女性らしさを演出するおしゃれはダメだな?と思い始めました。人形服を着る自由はある!化粧する自由もある!選択の自由!とか言いたいところですが、人形服は男が作っていたり、装飾が男にへつらうという意味を持つと知ってしまった以上、もうできません…。

本の中では男女で異なる服装を求められる理由として、「性別については、距離が離れていても確実に察知できるシステム (『美とミソジニー』より『服装の心理学』孫引き p59)」と述べられています。どなたかもTwitterで「夜道でもシルエットで分かるように」と言っていて、この本を読んだ今はこう思います、遠くても暗くても狙いやすくするための目印でもあるのだと。(そう思うと怖い!)

このおしゃれはセーフなの?アウトなの?というとき、「男もするか」がやはり大きなポイントですね。男性は化粧はしないしスカートは履かないし髪は伸ばさない(大多数は)。男性もピアスはするし眉毛いじるしヘアスタイルの流行を追う。この本を読んで私のスタンスは、男と見分けがつかないおしゃれならいいのかもしれない(まだ疑いの余地はあるけど)に変わりました。

狙われる目印、捨てていこうな✊(拳のマーク)(やっぱり絵文字アプリ入れるか迷う)

ダンス・イン・クローゼット管理人
ダンス・イン・クローゼット管理人

『美とミソジニー 美容行為の政治学』、好評で重版したそうです。すごいですね!

『美とミソジニー』は非装飾の理論、『脱コルセット:到来した想像』は実践って感じでしょうか。理論と実践、両方あるとよりよいですよね。「なんのために脱コルをするのか」を頭で理解し、体で実感できます。また、実感により理論への理解も深まるんじゃないでしょうか。

みなさんもぜひ読んでくださいね。

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